君の詩を聴かせて
ちらっと見えた表紙にはパンダがいた。
今はパンダか…イタチ科も好きそうだけど。
「柏木何見てんだ?…パンダ?」
「……」
あ、うざいって思ってる。
基本は無表情なんだけど、なんとなくわかる。
「…山浦」
「ん、何だ?」
「琉愛、うざいって思ってるよ」
「え…っ!?」
山浦って嫌いじゃないんだけど…何か合わないんだよね。
俺らはお互い干渉しないから。
山浦見てると“兄”って感じがする。
…俺も一応兄なんだけどなぁ。
頼りないからかな…。
それから俺たちは3人でいることが多くなった。
山浦は俺と琉愛のセットが好きらしい。
小動物コンビ…とか?
琉愛はまだしも、俺はそこまで小さくないんだけどなぁ…。
165はあるし、また伸びてたし。
まあそんな感じで、俺たちはぼやーっと過ごしていた。
そして、その日がやって来た――。
―――――
――それは、小さな勇気の物語。
いじめを受けていたクラスメイトを庇い、逆に自分がいじめを受けることになった少女。