君の詩を聴かせて



 そりゃそうだろ…。

 テレビなんて、これが最初で最後だし。

 名前には…少し、意味があるけど。

 誰にも言うつもりないし。


「『キミノミカタ』かぁ…ファンになっちゃったかも!
 お兄ちゃん、CD買ってよ」

「嫌だよ」

「ちっ、けち!」

「何とでも言え」


 てか大体売ってないから。

 売るつもりもないしねー。

 ……俺は、ストリートでいいんだってば。

 ただ気ままに歌いたいだけなんだよ。


「梨乃、早く寝なさーい」

「はーい、おやすみ」

「おやすみ」


 テレビを消して、俺も2階に上がる。

 部屋に入って、机の引き出しからCDを出した。

 記念にって、景山さんが特別にくれたCD。

 コンポに入れてボタンを押す。

 少ししてさっきと同じ前奏が聴こえてきた。



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