君の詩を聴かせて



「蕪木はアコギしか持ってないみたいだから、太一の貸してあげて」

「りょーかい、俺の分も頼むな!」

「はあ…、」


 何か…熱血、って感じ。

 人種違うんだけど…。

 ってゆうか俺、渚さんにアコギしか持ってないって言ったっけ?

 第一音楽やってるってこと知ってんのも、琉愛くらいなのに。

 …誰かが見てたのかな。


「とりあえず触ってみ?ほら」


 受け取った安部さんのエレキギター。

 人に楽器貸すって辛いよな…。

 自分の分身みたいなもんだし。

 俺だったら絶対嫌だし。

 嫌いだけど頑張ろう…。

 試しに弦を弾いてみた。

 アンプに繋げてたのか部屋中に響く。

 背中がゾクっとした。

 頭の天辺から足の爪先まで電流が走ったみたいだ。

 それは快感に限りなく近い感動。

 試しに弾く内にもっとやりたくなった。

 指慣らし…ちょっとくらいしてもいいかな。

 前奏を弾く。

 歌いたくなってきた…。

 うるさいんだし、少し歌ったっていいよな。



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