君の詩を聴かせて



 っはあ………!

 前髪を掻き上げる。

 額から汗が伝った。

 想いはもう…閉じ込めた、筈だった。

 勝手に切なくなる資格なんてない。

 俺から…離れたんだから。


「すご……蕪木ハンパないっ!!!!」


 周りを見回せば、部員全員俺を見ていた。

 …何かデジャブ。


「すげーじゃん!!
 何かこう…切ない気持ちが溢れてくるみたいな」

「うん、…涙出てきたっ」


 …俺のうたを、聴いて?

 …何か照れる…。

 そんな風に言われたの初めてだし。


「てか、どっかでこの声聞いたことあるような…」

「あ、僕も思った…」


 …あ、もしかしてやばいかも?

 あのドラマこの間やったばっかだし。

 とりあえず誤魔化しとかないと。


「俺ストリートで歌ってるから」

「だからかなぁ…んー」


 頭を捻る部員たち。

 人数多いとめんどくさいな…。

 バレなきゃいいんだけど。

 恐るべしマスメディア。


「あ、そういえばこれが楽譜な!」

「…どーも」


 安部さんから楽譜を受け取る。



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