君の詩を聴かせて



 そのとき目が合って…ウインクされた。

 …もしかして気付かれた?

 誰にも言うつもりないっぽいからいいけど。

 バレたらめんどくさいし。

 景山さんからの電話もめんどくさいし。

 デビューはしないって言ったのに。

 詳細も不明で、って。

 それはそれであっちは困ってるらしいけど

 ぶっちゃけ俺には関係ないし。

 いろいろバレたらややこしくなる。

 せっかく琉愛って友だちも出来て、

 山浦って世話係が出来て、

 気ままにすごしてるんだから。

 この日常を壊したくない。


「………ふ」


 ――日常、か。

 モノクロのこの世界が…?

 理由なんてわかってる。

 白しかわからない、その理由も。

 ただ…認めたくないだけ。


「まじで蕪木軽音部入ってよ!」

「それは無理。
 俺はあくまで助っ人だから」


 正式には入らないよ。

 そう言えばまた、発情期の猫みたいに騒ぐ。

 発情期って言えば、うさぎは年中発情期なんだっけ。

 静かだからいいんだけど。

 ライブのこととかを聞いて、練習を始めた。



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