君の詩を聴かせて
「今日はどうしたの?
…ん、それは?」
目敏く見つけられたプレゼント。
隠すつもりもなかったけど、ね。
「今日円香の誕生日ですよね?
これ渡してください」
「あらー…今日、お友だちと遊びに行ってて…。
じゃあおばさんから渡しとくね」
「はい、お願いします」
手渡して頭を下げる。
…いなくて少し、安心した。
この間、円香の態度が少し変だったし。
笑顔ぎこちなかったしな…。
「よかったらお茶でもしていく?」
「いえ、結構です。失礼します」
また頭を下げて踵を返した。
なんとなく進んでいく足。
…そこでやっと、気が付いた。
この間、少し歩幅がズレてた。
それは俺が成長したからなのか…。
唇を噛んでからまた、歩き出した。
いちいち気にすることじゃない。
俺と円香は、違う人間なんだから…。