君の詩を聴かせて
―きっかけは君
飛び上がる人々。
包まれる熱気。
ギラギラと照らしてくるライト。
滴る汗をTシャツで拭って、客席を見た。
――今日は渚さんのバンドのライブ。
ライブハウスなんて初めてだし、エレキギターも初めてだから大変だった。
軽音部で練習して家でも練習して
音楽漬けの生活は楽しい。
それももう、今日で終わりだけど。
「じゃあ次ー、『恋してオトメ』行くよー!」
「わーっ」
指を動かす。
確かタイトル通り恋する女の子の曲だった。
明るいのに、どこか哀しい曲。
…渚さんの声がそうさせるのかもしれない。