君の詩を聴かせて



 後ろから渚さんにタックルされた。

 ちょっとは手加減してほしいんだけど…。


「…大和、アンコールうるさい」

「え?…本当だ」


 耳をすませばアンコールって叫ぶ声が聞こえた。

 ストリートじゃあアンコールなんてされないからすごく新鮮だ。

 胸が熱くなるのを感じた。

 …俺、歌うの好きなんだ。


「蕪木、行くよ!」

「っ…うん」


 安部さんのエレキに持ち変えてまた、ステージに出た。

 熱いくらいに照らしてくるライトは、眩しくて。

 よく客席が見えなくて、

 いないはずの君を、見た気がした。







 打ち上げにはバンドのメンバーやアオイ、琉愛と山浦も来ていた。


「それにしても蕪木があんなに歌上手いなんてな!」

「そうそう、あたしも初めて聞いたとき驚いたよ」


 本人を放置して進む会話。

 まあ混ざるのも嫌なんだけど。

 俺は琉愛と一緒に隅でポテトを食べていた。

 …うん、ポテト最高。


「大和を見つけたアタシのおかげだよね!」

「アオイ…やっぱり」



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