君の詩を聴かせて



 隣に座って安部さんが聞いてきた。

 きっかけか…ああ、思い出した。

 それと同時に円香の顔が思い浮かんだ。


「…幼なじみが、落ち込んでて。
 ギターは音楽でやってて上手く出来てたから、元気付けようと思って」


 円香の好きな歌を、練習し出した。

 そしたらはまっちゃって、作詞作曲もしだしたんだ。


「じゃあさ、その子のために作った歌とかもあるわけ?」

「まあありますけど」

「歌って!」

「嫌です」

「何でだよ!?」


 即答で却下した俺に突っ込みが入る。

 琉愛は相変わらずポテト食べてるけど。

 …食い尽くす気か…?

 全部食べられないうちに俺も手を伸ばす。


「…あれは、幼なじみのために作った曲なんで。
 あいつ以外の前で歌うつもりはありません」


 あ、これ塩強い。

 もっと均等に塩降ってくれたらいいのに。


「その幼なじみに惚れてるんだ!」

「男だったらどうすんの」

「げ…」


 まあ女だけど。

 しつこい詮索を振りきってポテトを食べ続ける。



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