君の詩を聴かせて
背が低い琉愛には人混みはきつかったかな。
「…編入生」
「…それがどうかした?」
「…さっき見た」
「…ふーん」
琉愛は朝職員室に呼び出されて、そのときに編入生を見たらしい。
呼び出し…服装のことかな。
相変わらず校則違反だらけだし。
心機一転なのか、今は髪が前よりも赤い。
赤茶じゃなくて赤にしたみたいだ。
そう言う俺も、また染めてもらったんだけど。
今はもっと明るくしてアッシュブラウン。
言うなれば…そう、ヒグマの毛の色。
まあこの色も気に入ってるんだけど。
教室のドアに近付く。
隣の隣、つまり4組には人が集まってるみたいだった。
4組…ああ、編入生。
「大和、あとで4組行こーよ!」
「4組?何で?」
腕を絡めてきた葵に聞く。
例の編入生見に行くのかな?
こしょこしょと小さな声で言ってくる。
「だから……ね!」
「…別にいいけど。
ちゃんと挨拶はしなよ?」
「りょーかい!
じゃああとで行こーね!」
「はいはい」
頭を撫でる。