ながぐつ
たまにこんな日がある。
何があった訳じゃない。
急にひとりぼっちになったみたいに、まるで世界のどこを探しても味方なんて見つからないみたいな気持ちになる。
誰かに一緒にいてほしい。
誰にも会いたくない。
誰かに寄り掛かりたい。
ほっといてほしい。
正反対の気持ちがぐるぐるぐるぐる。頭の中を駆け巡る。
いっそのこと、本当にひとりぼっちならいいのに。
大声で叫んだり、気が済むまで泣いてみたり、思い付くまま歌ってみたり。
ぐるぐるから抜ける方法はきっとまだまだある。
でも私は本当は一人じゃない。隣の部屋には兄弟がいるし、階下には家族がいる。泣いたりしたら心配して起きるだろうし、叫ぼうものなら近所迷惑だと怒られる。
散歩に行こうか。夜桜に寄りかかって何も考えずにいれたら。
そう思っても、夜に一人で出歩く勇気もない。
したい自分とできない自分。
一人じゃないのに気分だけは自分だけ切り離されたようで。でもそうじゃないってわかっているから、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる…。
いつもと変わらず息をしてるはずなのに苦しくて、うまく息ができない。
目を閉じて、手を組んで、大きく一度息を吸って吐いて、息を止める。
もしかしたらこれが正しいのかもしれない。
一つも合わない感覚と現状。
どれか一つでも合わせようとして、私は今日も静かに息を止めた。