◆あの日の私が願ったこと
+最後の決断
もうこの人に優しさを求めるのも
あの日見せてくれた
当たり前だった笑顔も言葉も
全て
求めることは不可能と感じた。
最初に会ったあの土手で
春風に髪を揺らして寝ていたあの人は
もうここにはいない。
今付き合っている人は
あの人とは全くの別人だということ。
この人の短所を
私はどうして長所に
変えられなかったのだろう。
全てを好きでいることを
あの日の私は誓っていたのに。
この人というものは
自分を常に愛して欲しい、
自分だけを見てほしい。
そんな欲望の塊の人間なんだと。
もっと最初のほうに
私には何か出来た事が
あったんじゃないか
そう考えてももう遅かった。
もっと愛して、
もっと愛してもらえてたら
こんな事にはなってなかった。
この人の全てを好きだと思ってたのに。
いくら変わっても
この人は、この人なんだ。
そう思い続けてきたのに。
私だけが愛して、
あの人が私を奴隷としか
扱ってくれないのなら
これは恋愛ではない、と。
そう一人で考え続けた。
何日も、何日も。
いくら言いたい言葉があっても
私の言葉なんか
あの人の耳には届かないし
聞いてもくれないのは解っていた。
あの人が早く他の人を好きになって
私を捨ててくれるまで待とう。
それが一番良い方法だと思った。
私の気持ちに
好きという感情がなくなってきた。
それも、
付き合ってから
1年半が過ぎた日だった。
半年目に初めて暴力を振るわれて
1年もの月日がたっていた。