◆あの日の私が願ったこと
また殴られたらしい。


それを考えて、
やっぱりさっきのは夢じゃなかった。


そう思ったら一気に涙が溢れた。



「いつまで座ってんだよ。

立て。」



その言葉に従い
ゆっくりと立ちあがった。

それと同時にまた
私の頬を叩く樹。


「お前は言葉で言っても解らねえから
こうやって殴るしかないよな?

殴っても分かんねえ
馬鹿かもしんねーけどな」


何かを喋るたびに一発。

私が何かを言う度に一発。


そうやってその時間が流れた。


声も出せずに涙を流した。

泣き疲れたあたしを見て


「もういいよ。帰れ。つまんねえ」


この一言を吐いて
樹は家へ入って行った。


私も涙を拭いて
自分の自転車を置いた場所へ向かう

その足もたってられず
ふらふらと重く歩いた。


涙は止まらずに流れたままだった。


家へ帰って布団へ入った私。
一度は泣きやんだものの

思いだすとまた恐怖で涙が溢れた。




あの日私を愛してくれたあの人が

私を殴っては暴言を吐いている。


その状況が理解できず

私が何をしたのかも解らなかった。


そこまでされる筋合いはあるのか

何故私が殴られなきゃならないのか。



私は何か間違ったことを言った?



色んな疑問が浮かんでは
ただひたすらに泣いているだけだった。
< 7 / 17 >

この作品をシェア

pagetop