メトロノーム
読み終わってから先輩のお母さんは私を抱きしめた。
「ごめんね…本当にもっと早く整理すればよかったわね……お参り、してもらえるかしら?」
「はいっ」
私は先輩のお母さんに抱きしめ返した。
チーン…─
「先輩…私、ずっと…私も先輩のこと、ずっと好きだった…今でも好きですっ!どうして……どう…して…」
私は先輩の仏壇の前で呟いた。
「弥琴ちゃん…」
先輩のお母さんは私の肩に手を置いた。
「隆哉の代わりにサックス続けてね?」
「…はいっ!」
私はしっかりと、心に決めた。
もう、二度とサックスを手放さないと。