メトロノーム



私はずいぶん上達して、
先輩との5分の時間はフレーズ練習になった。

2年生になる前の春休み。

この日も私は音楽室にいた。
私が音楽室について少しすると尾崎先輩がきた。

「坂井、今日は俺より早かったな」

先輩がそんなことを言ったから私はからかって
「先輩が遅いんですよっ♪」
と、言った。

「そんなこと言って。さっききたばっかだろ?」

うっ…図星…
私はその言葉に何も返さず準備を進めた。

「図星か…」

先輩が
「ふっ」と馬鹿にしたように笑ったので
文句を言ってやろうと口を開いたら
またメトロノームが見つからない…

「メトロノーム…」
「また忘れたのか?」
「……」

私は先輩に呆れられた気がして
鞄をひっくり返してもでてこないメトロノームを恨んだ。

「ほら、これやるよ」

「俺、もうすぐ引退だしな」
と、つけ加えながら先輩は私にメトロノームをくれた。

「でも……」
「家でも使うから忘れるんだろ?家用と学校用、俺の古だけどな」

「ほら、早くしろ?」
そうつけ加えて、先輩ゎ吹き始めた。

先輩からもらったメトロノーム…
先輩が使ってたもの…
これからも頑張ろう


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