メトロノーム


先輩に少しでも近づけるように、
頑張ろうと心に決めた数日後…






先輩は亡くなった。






登校途中に車に跳ねられて即死だったそうだ。
先輩が守ったサックスは無傷だった。

先輩…どうして…
サックスさえなければ先輩は死なずにすんだのに!

そう思って自分のサックスを睨んだが、
傷つけることなんてできなかった。

「先輩…─」

私ゎ消えそうな声で先輩を呼んだ。
すると…

─カチカチカチカチ

先輩からもらったメトロノームが動いた。

何よ…
サックスを吹けって言うの?

私はメトロノームがそう言ってる気がしてサックスを吹いたが、
思うように吹けなくて
部活をやめてサックスを触らなくなった。


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