メトロノーム


それから1年過ぎて、
私は3年生になった。

音楽はやめたけど、メトロノームだけは常に動かしている。
それは、音楽…先輩とサックスがまだ忘れられないせいなのかもしれない。

結局、私は先輩に告白すらしてなかった。
先輩が死んでからの私はやる気がなくて…
何してもつまらなくて…
カーテンを閉めきった薄暗いメトロノームの音が響く部屋を出ない閉じ籠りの日々が始まった。

そして、私は壊してしまいたいと思うメトロノームに先輩を重ねていた。

メトロノームの音だけを聞いている日々はとても楽で落ち着けた。


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