ヒレン
ナースステーションに顔を出すと同時にコールが鳴り響く。


その音に思わずドキリとした



嫌な予感がする



「はい。外科病棟です。はい、あ、目の前にいます。長崎先生お電話です」



「お電話代わりました。長崎です」



「チコ。落ち着いて聴けよ」



シンちゃん?


「……え?」



震える左手を右手で押さえつけた。


でないと受話器を落としてしまいそう



「チコ!しっかりしろ。今のお前なら大丈夫だ」



受話器を戻すと、研究室に走った。



扉を閉めるのも忘れて、机の引き出しを開けると色あせたお守りを取り出す。




それを手にしたまま、病院の方へと走り出した。



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