ヒレン
第3章 追憶
Astronomische Beobachtung
闇に染まった空
郊外とあって、外灯も少なく星が美しく瞬いている。
「晴れてよかったね。新入生との初の観測だし」
大きく伸びをしながら智子は望遠鏡をのぞいている人物に声をかけた。
「だな。そっちの望遠鏡どうだ?」
「うん、大丈夫」
もう一方の望遠鏡をのぞき、返事をする。
「よし。いったん戻るか」
「うん」
先を歩く人物の手に智子は自分の指を絡めた。
「何?」
「何となく。和くんの手、冷たくて好きなんだよね」
大学に入学して3年目
毎日の授業をこなしつつ、天体観測のサークルに所属し、週末にはこんな風に星を眺めている。
和くんと呼んでいる、同級生、塚原和真と付き合い始めて2年が過ぎようとしていた。
郊外とあって、外灯も少なく星が美しく瞬いている。
「晴れてよかったね。新入生との初の観測だし」
大きく伸びをしながら智子は望遠鏡をのぞいている人物に声をかけた。
「だな。そっちの望遠鏡どうだ?」
「うん、大丈夫」
もう一方の望遠鏡をのぞき、返事をする。
「よし。いったん戻るか」
「うん」
先を歩く人物の手に智子は自分の指を絡めた。
「何?」
「何となく。和くんの手、冷たくて好きなんだよね」
大学に入学して3年目
毎日の授業をこなしつつ、天体観測のサークルに所属し、週末にはこんな風に星を眺めている。
和くんと呼んでいる、同級生、塚原和真と付き合い始めて2年が過ぎようとしていた。