ヒレン
「言っていた後輩。このサークルの副部長で俺の同級生」


「長崎智子です。初めまして。北くん?うーん。間違えそうだから秀くんって呼んでもいい?」


「え?」


「だって絶対、北と間違えるよ。結構いい呼び名だと思うけど。和くんはどう思う?」


急にふられた和真は腹をかかえて笑い出した。


「ヒデにこんな表情(かお)させるなんて智子、やっぱりいい性格してるよ」


「先輩、笑いすぎです」


秀明があきれたような顔で息をついた。


「和くん、どの口が言っているのかな」


そう言うと和真の両頬を強く引っ張った。


「痛っつ。ごめん」


頬をなでながら言う。その仕草に智子は口元をゆるめた。


「長崎。ちょっと」


真が手招きをしている。傍には1年生の二人がいた。


「行ってくる。後でね」

小走りで3人の下へ向かっていく。


「先輩。相変わらずですね」


「どういう意味だ。それ?」


腕を秀明の首に回し、軽く体重をかける。


「すべてです」


和真の腕を振りほどくと、秀明も智子たちの元へ歩き出した。


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