ヒレン
「チコ?大丈夫か?」


「何で?」


掠れた声しか出てこない。


「やっぱりか。昨日実習棟で見たとき具合悪そうだったし。一人か?」


「秀くんがいる」


電話の向こうで少し驚いたような沈黙が流れた。


「代われるか?」


「代わってほしいって」


そう言ってPHSを秀明に渡すと、智子の意識は途切れた。



急に渡された電話を少し戸惑いながらも受け取った。


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