ヒレン

Memorial Day

月が雲に隠れ、先刻より、空は暗く影っている。

アップルティーの香りが残る部屋、二人は静かに唇を重ねていた。

微かな月明かりが二人の首元を光らせている。


「雨降りそう」


窓を閉めながら、背中で問いかける。


「ですね。早めに帰りましょう」


そう言って窓辺に立つ智子を背中から抱きしめた。唇が髪の毛に触れる。


「……言ってなかったね。誕生日おめでとう」


「もう祝うという年でもないでしょう」


腕の中の智子が小さく首を振る。

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