くちびるの純情 薬指の約束
「ま、頑張れ」

「うん」

頭をポンと叩いてくれた。小さい頃から変わらない癖


「渉ちゃん。兄貴と喧嘩したでしょ」


ゴホッ

視線を向けると噎せている渉ちゃん


「何で?」


「兄貴の機嫌悪かったから」

「俺が悪かったんだが」

しどろもどろになっている


「謝っちゃえば?」

「嫌、そう簡単には」

「なら、仲裁しない」

渉ちゃんに背中を向ける


今朝も兄貴と同じやりとりをしてきた


こっちは兄貴と二人暮らし

痴話喧嘩に巻き込まれるのは嫌である
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