王様ゲーム
人は美しすぎる人を見ると
直視できないものだと
はじめて知った。

彼の名前はRyusey
(りゅうせい)。
有名なロックグループの
ボーカルで、美しさでも、
プレイボーイとしても有名。

私は正直ファンではなかったが、
それでも日本人ばなれした
整った顔立ち、醸し出す空気に、
めまいがして倒れそうになった。
立っているのがやっとだった。

Ryuseyは右手をあごに
当てながらゆっくり近づいてきた。

そして私の前で立ち止まると、まじまじと見つめ、

「ふぅ〜ん」

と言った。

すると加藤が慌てて、

「あの〜ビミョーな年齢で
どうかな〜と思ったのですが、
ダメならすぐつれて帰り
ますので…」


と、腰を低くして言った。
私はもうどうでもよかった。

Ryuseyは静かに話はじめた。

「加藤、レディにその言い方は
どうかな?少し席を外してくれ。
また呼ぶから。」

すると加藤は

「えっ?お話されるんですか?
あっ、し、失礼しました。
では、後でまたお呼び
ください。」

と言って出ていった。

私は氷のように固まったまま
一歩も動けず唾も飲めずにいた。

「どうぞ、かけてください。」

私はとにかくこの場から
早く立ち去りたかった。
Ryuseyの甘い香り、
極度の緊張で、なんだか
気分が悪くなっていた。

『わ、私、やっぱり失礼します…』

そう言って立ち去ろうとしたとき、
腕を強く捕まれた。


「まぁ、落ち着いて」


低く静かな力のある声に
私は動けなくなった。
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