王様ゲーム
バラや色とりどりの花が咲く
美しい庭に、
一人しゃがみこむ女。

ウェイトレスの服が水色のせいで
まるで不思議の国のアリス
だな。


アリスの背中は悲しげだった。


百戦錬磨の俺様も、なんて声を
かけていいものか、迷う。
愛美には慎重になってしまう。


カサッ……―――


アリスが気付いて振り返る。


「わっ!び、びっくりしたっ」


本気で驚いていた。


「どっ、どうしたんですかッ?
主役がこんなトコきて!」

『あ、いや……あの、アリスが
いるのが見えたからさ。』

俺はすまして言った。


「アリス…?」


愛美は不思議そうな顔。

俺は愛美の服を指差した。

すると、愛美は気付いたのか、
顔を真っ赤にした。


「あ、ごめんなさいっ、
いい年してこんな格好。
似合わないですよねっ、し、
失礼します!」


ペコリと頭を下げ、
とても悲しい顔をして、
寮まで走っていってしまった。


――…なぜ、そうなった?

余計なこと言って、
愛美を更に傷つけてしまった。


なんて、バカなんだ。


笑わせようと思ったのに。

そこへ女たちが俺を見つけて
駆け寄ってきた。

俺は連れ戻された。


サイテーなパーティーだ。

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