王様ゲーム

Ｒｙｕｓｅｙは少しだけ
意地悪そうな笑顔で私を見た。

「人間てさ、毎日ステーキ
食べてると、時々和食が
食べたくなるでしょ？
味噌汁とご飯が恋しくなる。
そんな感じ。」

そういってサラサラの髪を
かきあげて笑っている。

（うわぁ〜悪魔だ(￣□￣;)!!
私は味噌汁かけご飯かよっ！

絶対無理！こんな俺様。
なんとか断らなきゃ）


私は、だいぶ混乱しながら
必死で言葉を探していると、
Ｒｙｕｓｅｙはなにやら
紙を見つめていた。


「家はどこ？」

『へっ？あ、○区のアパートです
…ケド』

「あ、じゃぁ明日、引っ越して、
この隣の建物に空いてる部屋が
あるから。それと、子供の送り
迎えもやらせるから心配しないで
働いてよ、ねっ、愛美」


（い、いきなり呼び捨てかぃ）

もう緊張は吹っ飛んでいた。

『あ、あのぅ、私は、無理かと…』

「あぁ、ここでは僕は王様。
王様の言うことはゼッタ〜イ！」

そういって右手を挙げながら
美しすぎる顔で悪戯に笑った。

私は、王国へと足を踏み入れた。

この王様の心の影を
私はこの時まだ知るよしも
なかった。