(無題)





「ゆびわ?」




ゆっくりとなぞるように答えてみれば薫は目線すら合わせずに喉だけで

うん。

と答える









「銀色のねーリングが欲しいの。安っぽいやつ。いや、安いやつ

でね、外したら青くなんの。」








リングがね、ついて輝いていた指ね
外したら、その指のつけねがぶす色になって

そこから青く、錆びた、緑の、鉄が、
徐々に徐々に
広がって
私に浸食して

完全に青緑が体内を、巡って“アオミドロせいじん”になるの

という。








裕也はまた、わけわかんない事言っている肢体に
恐ろしさと同時に内情呆れて自分の中指を見た。




先程、薫の中に入った中指は入口こそそれは困難であったが、中へ進もうとすればそれはすんなりと潤滑が増し入ったと。

まだ脳内にはあの暖かみの余韻が残っている。

もう一度入りたい。
気も、する。












「“証”」



薫は言った。




「裕也からもらえるのが欲しい。」















裕也が浸食して。
私の体をお前が浸食して。
外側も、内側も。









今度もう一度
薫を見やれば、
今度はじっとまっすぐ裕也を見ていた。







その薫の瞳と言ったらなんと星が暗闇に散りばめられたように輝いているではないか!









なんと卑怯な人なのだろう!
君は瞳に星すら飼っているのか!





 
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