ぴゅあ☆プリンス


ばちりと目が合った。


ぱちぱちと瞬きした男の子は次の瞬間、サッと目を逸らした。


――ズキリ。


そんな男の子の行動ひとつで傷ついてしまう。


「あ!!…えとー、ごめんね!!当たらなかった?」


あたしはゆっくりハシゴを下りて、男の子のそばに転がっているペットボトルを拾いながら言った。


「……」


こくり。と小さく頷いた男の子は顔を強張らせたまま俯いている。


そんな表情を不思議に思いながらも、あたしは笑いかける。


「…えと。…あのー、今授業中だから、サボり!?あたしもなのっ…!!」





…あたし、何言ってんだろ。


そんなことを引き攣り気味の笑顔で話しかけながら思った。


すると…、


…蒼に優しく微笑んでいた笑顔の可愛い男の子はここにはいなくて。


「………、」


俯いたまま、眉を下げて怖がっているような仕草をする男の子。


…どうして?


こんな経験は初めてで。


あたしは男の子を目の前に、訳がわからず立ち尽くしていた。


< 11 / 27 >

この作品をシェア

pagetop