Tears in Love 〜せつない想い〜下
矢野先輩は
静かに眠ったままだった。

矢野先輩のお母さんとお父さんは
悲しそうに矢野先輩を見つめる。


あたしはゆっくりと矢野先輩の
傍にある椅子に座る。


「・・ごめんな、空ちゃん。

せっかく来てくれたのに・・・

大地の奴、目覚まさなくて・・」


矢野先輩のお父さんは
あたしに謝る。

あたしは布団の中からでていた
矢野先輩の手を優しく握る。


「・・・大丈夫ですよ。

こうして会えるんですから」


あたしは優しく微笑む。

そして。
涙が流れた。


「・・・あれ?まただ・・・。


急に涙が出て来る・・・。

どうしてだろ・・・?」


急に流れたあたしの涙は、
矢野先輩の手に垂れ落ちた。


・・・ぽつん。


「・・・」


風が一瞬止まった。

病室は静まり返る。


・・・その時だ。


矢野先輩は
ゆっくりと、目を開けた。


「・・・・・」


あたしは矢野先輩の手を
握りしめたまま涙を流していた。


矢野先輩のお母さんとお父さんは
ゆっくりと矢野先輩を見る。


矢野先輩は
泣いているあたしに気付く。


「・・・柳・・・原・・・?」


「「・・・!?」」


あたし達は驚く。

矢野先輩はあたしの手から
スルリと手をぬけると
あたしの目から流れる涙を拭いた。


「・・・泣くなって・・・言ったろ・・」


「・・・矢野・・・先輩・・・」


「「・・・大地!!」」


矢野先輩のお母さんとお父さんは
矢野先輩の傍に駆け寄る。


「・・・母さん・・・父さん・・・」


「心配かけやがって・・・」


「・・ごめん、父さん・・・」


「あ!あたし先生呼んできます」


あたしは立ち上がり、
その場を去ろうとした。


・・・ぐっ


あたしは腕を急に捕まれる。


「・・・!?」


あたしは捕まれてる方へ
視線を向ける。


「・・・行かないでくれ。


少しだけでいいから
・・俺の傍にいて」


矢野先輩は寂しい目で、
あたしを見つめる。
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