Tears in Love 〜せつない想い〜下
105号室。

あたしは
矢野先輩の病室へ
一人で行った。

矢野先輩の
お母さんとお父さんは
仕事があるそうで

帰って行った。

・・・ガララッ

病室の扉を開くあたし。


「・・・柳原か」


「あたしじゃダメでした?」


「・・・違う。

啓が一度も見舞いに
来ないからさ・・・

ちょっとな・・・」


矢野先輩は
少し悲しそうな目で、
窓の外の景色を眺めていた。


長瀬先輩・・・か。

こんな事考えてたら、
また気持ちが揺れる。


あたしは矢野先輩に近づくと、

矢野先輩の近くにある
椅子に腰を下ろした。


「・・・大丈夫ですよ。

きっとそのうち来ます」


あたしは笑顔でそう言う。

あたしの言葉を聞いた
矢野先輩はあたしの方を見て
優しく笑った。


「・・・柳原がいて良かった」


・・・ドキッ


鼓動が一瞬速くなった。


どうしてだろ。

昔の想いがまた不思議と
戻ってくる。

あたしの初恋相手の人。

あたしはまたその人に
恋をするだろう・・・。


長瀬先輩を忘れて・・・・


長瀬先輩・・・あたしは
正しかったよね・・?


この選択間違ってないよね?


そして。
あたしは
後悔することになった。


まさか。


あなたが・・・・。

あんな事になるなんて。


「・・・矢野先輩」


「何・・・?」


あたしは矢野先輩を見つめる。


「・・・あたし、矢野先輩の傍に
ずっといます・・・!!」


「!?・・・どうした、急に・・・」


驚いた目で
あたしを見る矢野先輩。


「・・・責任とか
そんなんじゃなくて


あたし・・・矢野先輩の傍に
いたいんです・・・!!」


「・・・それ、嘘じゃねーよな?」


「・・・嘘つきますか?あたし」



その時だ。


矢野先輩はあたしを
抱きしめた。


・・・ぎゅっ


「・・・絶対離さないからな。」


「・・・矢野先輩・・・」


「・・・ずっと俺の傍にいて」
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