Tears in Love 〜せつない想い〜下
「・・・啓、本当にいいのか?

お前、空ちゃんいたろ。


あんなに東京行くの
嫌がってたのに・・・。」



長瀬先輩のお兄さんは
少し困った表情を浮かべながら
そう言った。


「あいつは・・・
大地が好きだから・・・・。



俺が東京に行こうと、
今のあいつには
俺は見えてねーよ・・・」


小さな声で呟く長瀬先輩。
長瀬先輩のお兄さんは
言葉を失う。




30分後。

空港の外で
タクシーから降りるあたし。


「・・・・長瀬先輩・・・・っ」



あたしは駆け出す。


「・・・兄貴」


「・・・何だ?」


「俺間違ってたのかな?」


大勢の人が通り過ぎる。


長瀬先輩は両手を
絡めながら床を見つめる。


「・・・愁哉、啓。



行くぞ」


・・・すっ


長瀬先輩は立ち上がる。


続いて長瀬先輩のお兄さんも
立ち上がる。


そして、
長瀬先輩に言った。



「・・・お前が
間違ってるかなんて、
俺には分かんねーよ。


けどさ、
自分の気持ちに素直に
ならないのは
間違ってると思う」



そう言うと、
長瀬先輩のお兄さんは歩きだす。



「・・・・・・・」



「・・・はぁはぁっ


どこにいるの・・・!?



長瀬先輩・・・っ・・・どこ!?」


あたしは
辺りをキョロキョロしながら
長瀬先輩を探す。


しかし。


「・・・東京の飛行機は
発車されました」



アナウンスが
空港中に響く。


あたしは
急いで駆け出す。


大きな窓の外に映るのは
発車された飛行機。



「・・・長瀬先輩っ!!




・・・そんな・・・・っ」



あたしはその場に座り込む。



間に合わなかった・・・・



そんな・・・・




早く・・・気持ちを
伝えれば良かった・・・・。


長瀬先輩・・・・・。


あたし
好きって言ってないよ。


好きって・・
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