Tears in Love 〜せつない想い〜下
・・・スッ


「「・・・・・」」


互いに木刀を向けあう。


そして。


あたしは
長瀬先輩の前に出て木刀を振る。


「やぁぁぁぁ!!」


・・・パァァァンッ


「・・・・っ」


しかし。

長瀬先輩は
あたしの木刀を交わす。


あたしはすぐに後ろを向き、
また木刀を振る。


「やぁっ!!」


・・・ガッ


あたしと長瀬先輩の
木刀が重なる。


「・・・・・」


すると。


「やぁぁぁぁっ!!」


長瀬先輩は木刀を緩め、
あたしの頭に木刀を振る。


・・・パァァァァンッ


「・・・一本!

・・勝負あり!」


「・・・っ!!」


負けた。

負けちゃった。


自分の力出し切れなかった。


悔しい。悔しいよ。


あたしと長瀬先輩は
互いに礼をし、下がる。


「・・・柳原。


ごめん・・・
つい本気になっちゃって」


焦りながら
あたしの元に来る長瀬先輩。


「・・・・大丈夫です。

あたしの力不足です」


あたしは頭を下げる。

お面を外すと、
タオルを頭に巻くあたし。


「矢野先輩ー・・・

あたし何処がダメでした?」



「・・・相手が離れたら
すぐにガードしなきゃ、
やられるから。


そこがちょっと遅かったな」


「やっぱり・・・」



下を向くあたし。


長瀬先輩はお面を外すと、


あたしに近づいてきた。



「・・・長瀬先輩の言うこと
聞きますよ。」



「・・・・・」



長瀬先輩は
あたしの顔に顔を近付ける。


「・・・!!」



・・・ドキッ



鼓動が早くなるあたし。



な・・・なに!?



この展開・・・!?


「じゃあ・・・」


「・・・っ」


「・・・デコピンなっ」


・・・・えっ??


・・・ビシッ


「痛・・・ッ!!」


「お仕置きな!」


可愛く笑う長瀬先輩。
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