Tears in Love 〜せつない想い〜下

部屋に戻ったあたしは
荷物整理を始めた。


数分後、
二人は帰ってきた。


「いいお湯だったな」


「そーか？」


初めて見る私服姿の
長瀬先輩と矢野先輩。


すごくかっこよかった。


矢野先輩も長瀬先輩も･･


そう思っていると
二人はあたしを見る。


「柳原の私服って
思ってたイメージと違うな」


長瀬先輩はそう言う。


「どーせ、可愛くないですよ」


あたしは膨れっ面な顔で
言った。


すると。


とんでもない答えが
返ってきた。


「いや、可愛いよ」


「･･･っ！？」


え･･･？


「可愛いよな？大地」


長瀬先輩の言葉に
驚くあたし。


「･･あぁ、そだな」


「二人共、お世辞言わなくて
いーですから！」


「え。俺まじで言ったんだけど」


長瀬先輩は少し笑いながら言う。


鼓動がまたしても速くなる。


･･･ガララッ


「料理をお持ちしました」


合宿のスタッフが
料理を運んできた。

料理は机に次々と
並べられる。


「それでは、
ごゆっくりどうぞ。

またあとで
来ますので」


女の人は帰って行った。


･･･しーん。


気まずい雰囲気。


「わ･･わぁ〜！！美味しそ〜！」


わざと話を切り出すあたし。


「だな。食べようぜ、啓」


「･･あぁ」


二人はそう言うと、
あたしの前に座る。

そして。

黙々と会話もなく
食べはじめる３人。


そんな中、
二人が食べ終わりそうな時。


あたしは嫌いな食べ物と
格闘していた。

皿の上に置かれたにんじん。

あたしは黙って見つめる。

ゆっくりと、
一粒のにんじんを口の中に入れる。


「････う」


嫌な味が口の中に広がる。


すると。


「柳原、にんじん嫌いなの？」


矢野先輩がそう聞いてきた。


あたしは矢野先輩達の方を見る。


矢野先輩と長瀬先輩は
食べ終わっていた。