刀人―巡りめく戦乱の中で―
二コリと笑みを張り付けてお高く止まった女を演じて見せる。
このような男には気の強い女性が似会いだ。
「……ははっ!! 強気な女は悪かねぇ。いいぜ、それは見逃してやる」
功を奏したのか、気分を良くした重祢は祭の肩を抱いてもう片方の手でいらないとばかりに小太刀を払うような仕草をした。
男が戻って来たということは、金品の収集は終わったと考えていいだろう。
それと同時に此処を去るということを暗に意味していた。
そして小太刀に興味を無くした今が絶好の合間である。男の気が変わらない内に。
「早くお行きなさい」
「姫様」
小さな声で言うが、皆を纏める筈のじぃが動く様子は見られない。
「お行きなさい!!!」
ざわざわと騒がしかった辺りが、一際大きな祭りの声に周りにいた人間はもちろん、山賊達も声の出所にくぎ付けになった。