刀人―巡りめく戦乱の中で―
だからこそ父上はその前に先手を打ったのだろう。


人形のような女子に、と。


その方が幸せだという考え方も、今となっては否定することはできない。

けれど吉良を好きになったことに後悔はなかった。



そんな事を考えていると、籠の揺れが突如止まった。何やら外が騒がしいように見える。


「何事です……きゃっ」


御輿に掛かる簾戸を開けようと祭が手を伸ばしたと同時にふと感じる浮遊感に思わず声を漏らす。
ドスンと鈍い音と共に衝撃を受け、痛む節々で簾戸を開けると日の光を遮って大きな男が立っていた。

「おー、偉く別嬪な姉ちゃんだな。どっかの姫さんか何かか?」

祭の顎に手を掛けて男は選別するように眺める。事態に慌てる胸中を悟られないよう、冷静にその手を払った。


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