天蓋花―テンガイバナ
『きらー。』
呼べばいつも返事をくれた。
小さな鳴き声、
触ればふわふわで。
擦り寄って来る身体はしなやかな柔らかさ。
布団に潜り込んで来る優しい暖かさに
"僕"は
安心して寝られてた。
何より真ん丸なその瞳は、
真っ黒な身体によく似合っていて。
月みたいな明るさを持つ輝きに、名前を『金羅』ってつけたんやっけ。
気まぐれと言われることも多いけど、金羅はものすごく従順やった。
『きらは…で…………から。』
何?