天蓋花―テンガイバナ


あの日は、珍しく雪が降っていた。

いきなり積もった雪に、大雪警報で学校はお休み。

親に頼まれた届け物があって、外に出たくないから、きらに頼んだんや。

小さな紙切れ三枚。
近くの店の割引券をきらの首輪に張り付ける。

いくら頭が良いって言っても、猫なんやから。どーせ外に出してもしばらくしたら寒くて帰って来るやろ。

そんな軽い気持ちで。

まさか、本気にするなんて
おばさんが出かけて家にいないだなんて


きらが帰って来ないなんて


思わんかった。

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