天蓋花―テンガイバナ
なんで?
思わず溢れた涙は、
映像が切り替わって赤い花の上に落ちた。
目の前には真っ黒な塊。
手を伸ばした途端に、その塊は女の子へと姿を変える。
次々と涙を流す俺に向かって、その子は…"金羅"は、寂しそうに笑った。
「…思い、出した?」
鈴が転がるような声に、
可愛いらしい猫の鳴き声を感じて小さく頷く。
ごめん
その一言が言いたくて
言えない。
頭がくらくらする。
いつの間にかしゃがみ込んでいた状態のまま思わず抱き寄せると、俺の頭を軽く抱きしめて彼女は、鳴いた。