天蓋花―テンガイバナ

しばらく行くと、突然現れた赤い花の集団。

綺麗というよりかは、どこか不気味ささえ感じられるその花を見て、咄嗟に思った。

……死人花や。

シビトバナ、と呼ばれるこの花を、可愛いとか綺麗とか素直に思える人はあまりいないはずだ。

しかも、昨日まではこんなにたくさん咲いていなかったような気がする。

なんか…気持ち悪い。

彼岸花の赤は
血を連想させる。

引き寄せられるように、自転車から降りる。

ふらふらと花の元へ歩いて行くと、草むらに隠れて見えなかった生き物に気付いた。

生き物は生き物でも、
それは

[人間]

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