天蓋花―テンガイバナ
「あぁ…大丈夫やで。」
余裕のあるふりを今さらにしながらとりあえず笑い返すと、改めて彼岸花を眺める。
「凄いなぁ、この花。」
散々心の中ではけなしていたくせに、この女の子の前では言ってはいけない気がした。
咄嗟に出たのが
"凄い"
という当たり障りのない言葉。どんな風にも取れる俺の呟きが風に流されて行く。
同じ風に、彼岸花の赤がゆっくり揺れていた。
すると、ちょっとだけ間をあけてから返事が返って来る。
「うん、凄いでしょ?みんなみんな、友達なんだー。」
「…友達?」