天蓋花―テンガイバナ

「私とね、彼岸花は友達なんだよ。おにーさん、私のこと嫌い?」

そう俺に問いかけ、真っ直ぐに見つめてくる瞳。

嫌い、
ではない。

だからって好きだなんて言えるか?いきなり会った変わった女の子のことを。

嘘でも好きって言ったら
この子は許してくれるんやろか?

………アホか、なんでこんな小さな女の子に許してめらわなあかんねん。

俺は、何に怯えてる?

何も言えず、ただ言葉を探す様子を見て呆れてか、彼女はため息をついた。

表情が一変して、彼女は泣きそうな笑みを浮かべる。

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