忘れたい 忘れたくない

「 おはよ 」

トオルは笑顔で迎えてくれた。

「 おはようございます 」

いつもの笑顔、いつもの挨拶。


こんなにドキドキしてるのは


…あたしだけ?





向かった先は、海沿いにあるアウトレットモール。

車中、信号待ちで止まるたびに、

トオルはあたしに笑顔を向けた。

「 緊張してるの? 」

あたしのドキドキに気付かれて

「 …ちょっと… 」

そう答えると

まるで子供をなだめるように、

よしよし、と頭を撫でられた。

仕事中には見せない、トオルの穏やかな表情に、あたしは何だか安心し始めた。


15歳も年上のトオル。


ふと、あたしは、10日前の出来事を思い出した。




< 13 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop