忘れたい 忘れたくない
「 誕生日、ごめんなさい 」
「 ホントは忘れてたんでしょ。日にちに気付かなかったって言い訳、聞いた事ないよ 」
トオルはスネた顔をしてあたしを見た。
「 忘れてないもん。ホントに気付かなかったんだもん 」
あたしの声は少し大きくなって、体ごとトオルの方を見た。
トオルは、ハハッと笑って
「 舞なんていいもん 」
と、またスネた。
コドモみたい。
あたしは何だか笑えてきた。
大人のオトコだと思ってたのは、あたしの勝手な妄想かもしれない。
旦那にヤキモチ焼いたり
誕生日忘れられてスネたり
何だかかわいらしく思える。
アウトレットモールに着く頃
あたしの緊張はすっかり解けていた。