忘れたい 忘れたくない
平日の昼間、アウトレットモールは閑散としていた。
服を見たり
帽子を見たり
スニーカーに悩んでみたり
だけど結局何も買わずにランチをした後、
並んでベンチに座った。
目の前には海。
こんなデートらしいデート、何年振りだろう。
…… トオルは、いつ以来のデート?
ふと気になって、言いかけた言葉を
あたしは飲み込んだ。
だって
トオルはとても穏やかな笑顔で
あたしを見ていたから。