あんでっど
「さあ、どうぞ。」
おばさんは、美春にお茶をすすめた。
「来てくださってありがとう。お線香まであげてくださって…。」
中に入ってから美春は暫く泣き続けていたのだが、おばさんは黙って美春が落ち着くのを待ったいてくれたのだ。
ようやく泣き終わった美春は両親を亡くし、おばあちゃんまでもがとの思いから泣き出したことを打ち明けた。
おばさんは、うんうんと頷いて、美春にお線香をあげてくれて頼んだ。
「おばあちゃんも喜んでますよ。お嬢さんに最後にお会いできて。」
美春の不思議そうな顔を見ながら、おばさんは続けた。
「可愛いお嬢さんが、うちをひいきにしてくださってる。孫の嫁にどうかって…」
美春がビックリして頬を赤らめると、おばさんは笑って
「うちの息子はホテルでコックをしてるんですが、つまみ食いばかりする太っちょでしてね。とてもお嬢さんには釣り合いませんよ。」
と笑った。
「猛さん、コックさんなんですか。」
美春が言うと
「あら、猛を知ってるんですか?」
今度はおばさんが不思議そうな顔をした。
美春は猛に会ったいきさつを話し、
「お待ちしてたんですが猛さんから連絡がないので伺ったんです。」と続けた。
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