ソレデモワタシハアナタヲアイス
「美咲、ずっと俺の事避けてるし、なんか怖がってるみたいだからつい寝たフリしたっていうか…」
私はさっき自分が口走った事を思い出した。
恥ずかしさで顔に体中の熱が集まるのが分かる。
こんな自分を空人に見せるワケにはいかない。
「ウソだよ。人が悩んでる時にこんな所で余裕で寝てる空人、見てたらからかってやりたくなっただけ」
私はとっくに閉め終わっている窓を見ながらウソをついた。
「そう…」
空人の暗い声が背中に突き刺さる。
空人の顔が見れない私は、早くこの状況から脱出したかった。
「じゃ、私、帰る…」
勢いに任せて逃げようと振り返った私の視界は、空人の胸元に限られた。
「美咲…」
私は空人の腕の中に抱きしめられていた。
< 101 / 435 >

この作品をシェア

pagetop