ソレデモワタシハアナタヲアイス
「ちょっ!空人!待って!放して!」
さっきより顔が熱くなっていくのを感じた。
「もう待ったよ。それに今は美咲の方から言って来たんだし」
悔しい事にこの状況は私より空人の方が有利だった。
「だからさっきのはからかっただけって言ったでしょ!放してってば!」
私は両手で力いっぱい目の前の空人の胸元を押し返した。
けれど、負けずに背中に回された空人の腕の力が増す。
「美咲」
私の名前を呼ぶ空人の唇が耳に触れる。
私は体の力が抜けてヒザをついてしまった。
それでも私に合わせてヒザをついた空人の腕が緩む事はなかった。
どんなに頑張っても空人の腕の中からは逃げられない。
「美咲…俺は美咲が好きだから…」
今まで聞いた事のない空人の声が耳元で聞こえた。
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