ソレデモワタシハアナタヲアイス
「だってさ、おまえらいつも一緒だろ?性格に問題があるにしたって美咲はキレイだし、頭良いし。こう変な気分になったりとかしないワケ?」
俺のバカな質問に呆れたのか隆太はもうまともに返事をしてくれなくなった。
「美咲の携帯、教えてあげるから今から電話してみたら?」
早く電話を切りたいのか最終的に隆太は提案をして来た。
けれど俺はそれを断った。
自分のカノジョの連絡先くらい自分で聞けなくてどうする。
正直なところを言えば、今すぐにでも美咲に電話をかけたい。
それでも数少ない俺のプライドが隆太に聞いてまで美咲に電話をするという行動を抑制した。
「じゃあ、頑張ってね」
結局、隆太は終始ロウテンションのまま俺の話し相手というポジションから逃れた。
俺は静かになった自分の部屋で今日の出来事を思い返した。
―――あの美咲が俺のカノジョ―――
自然に顔が緩んでしまう。
―――美咲、やっぱり女だよな…―――
加減はしたものの少し強めに抱きしめた美咲を思い出しながら、俺は自分の掌を見つめた。
―――力なんか俺の何分の1なんだよ―――
必死に俺の腕の中から逃げようとしていた美咲の腕力は、俺には全く利かなかった。
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