ソレデモワタシハアナタヲアイス
付き合っているというのに何1つ態度を変えない美咲に、俺は最近イラついていた。
いや、もしかしたらむしろ美咲はそういう雰囲気を作らないようにしているのかもしれない。
美咲は今も若干、俺から逃げている。
なるべく2人だけにはならないようにしているようだった。
―――もっとこうカレカノっぽくても良くね?―――
俺がこんな事を思っているのを知ってか知らずか美咲は見向きもしない。
「俺って本当に美咲と付き合ってんのかな…」
ボソリと口にした俺の一言にすかさず隆太と真由子が笑った。
正直、俺には余裕がなかった。
美咲はまったくもって俺の事をカレシだと位置付けていない気がする。
普通の女ならカレシが出来たら出来る限り一緒に居たいと思うものではないのだろうか。
現に俺の1つ下の弟は、よくカノジョを家に連れて来ては門限ギリギリに送り届けている。
とはいえ、うちの弟は取っ替え引っ替え違うカノジョを家に連れて来ては自分の部屋にこもっている。
そんなのを身近で見ている為に、俺の感覚がおかしいのかと一瞬、考えたけれど、決して俺の勘違いではないと即座に頭を振った。
やっぱり少しでも一緒に居たいと思うのが普通ではないだろうか。
―――って美咲は普通じゃなかった―――
俺の理想はガラガラと崩れ出した。
ベタベタしろとは言わない。
そんなのは俺がどう頑張っても叶うわけがない。
けれど俺はもう少し美咲との距離を縮めようと密かに心に決めていた。
< 112 / 435 >

この作品をシェア

pagetop