ソレデモワタシハアナタヲアイス
少し行くとベンチに座ってクレープを美味しそうに食べている真由子が目に入った。
「『どうにか抜けて2人だけで観覧車乗せよう!』って指令出すなら具体的な口実も付けてくれると有難いんだけど」
俺の登場に真由子は計画が成功したと分かって楽しそうに笑った。
「とかなんとか言って、上手く抜けて来たんでしょ?」
「上手くかは分かんないけどね。っていうか真由子のもう1回トイレ行って来るって方が無理あったんじゃない?」
俺は真由子の隣に座って観覧車を眺めた。
「うぅ~ん…美咲、気付いたかな?」
真由子はこの後の事を考えて苦い表情を浮かべながら観覧車を見上げた。
―――って俺も何気に共犯じゃん…―――
今更、美咲を欺いた事に気付いてももう後戻りは出来ない。
俺達はこの後の美咲を少し恐れながらゆっくり回転を続ける観覧車を黙って見つめた。
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